犬・猫のヘルニア
犬・猫の ヘルニア の症状・初期症状・兆候・原因・予防法・治療法・かかりやすい犬種など、詳しくまとめました。気になる点があれば、すぐに動物病院に連れていってあげましょう。
読み: へるにあ
目次
そもそもヘルニアって何??
ヘルニアとは体の中にある臓器が本来の場所から何らかの原因により、体内に隙間や裂け目などができ、そこから臓器が飛び出してしまうという疾患全般のことを言います。
それは臓器の一部であったり、全体の場合であったり様々です。一般的にはヘルニア=脱腸という風に言われていますが、胃、すい臓、膀胱、脂肪などが本来の位置から飛び出してしまうケースが多々あります。ヘルニアは生まれつきの先天性のものからケガなどの外傷などにより発症する後天性の2つがあります。
様々な犬のヘルニア
この5種が犬でよく見られるヘルニアの疾患です。それぞれのヘルニアによって症状や治療法も違ってきます。まずはどような症状がわんちゃんに起こるのか知ることからはじめましょう。
症状
椎間板ヘルニア
犬の椎間板ヘルニアは、損傷した椎間板の外に髄核が出てしまい、脊髄や神経を圧迫して痛みを生じ、進行すると麻痺し歩けなくなってしまう病気です。
犬の椎間板ヘルニアの症状
- 運動や階段を嫌がる
- 抱かれるのを嫌がる
- ふらつく
- 後ろ足を引きずる
- おしっこが出にくい
- 尿がポタポタでる
- 後ろ足を痛がらない
鼠径ヘルニア
犬の鼠径ヘルニアは、腸などが飛び出してしまう病気で、後ろ足の付け根が膨むことが特徴です。
犬の鼠径ヘルニアの症状
- 足の付け根が膨らんでいる
- おしっこが出にくい
会陰ヘルニア
犬の会陰ヘルニアは、肛門周りにスキマができ、腸・膀胱などが皮下で飛び出てしまう病気です。
- 肛門の近くが膨らんでいる
- うんちが出にくい
- おしっこが出にくい
犬の会陰ヘルニアの症状
臍ヘルニア
犬の臍ヘルニアは「でべそ」のことで、悪化すると腸閉塞になるなど、命にかかわる病気です。
犬の臍ヘルニアの症状
- でべそ
- ヘソの近くにしこりがある
- でべその色が黒か赤紫(緊急手術!)
- でべそが固く、凹まない(緊急手術!)
食道裂孔ヘルニア
犬の食道裂孔ヘルニアは、横隔膜に開いた穴から胃が胸腔内に飛び出して、胃酸が逆流したり、食道炎を起こす病気です。
犬の食道裂孔ヘルニアの症状
- 食欲がない
- 嘔吐
- 食道炎
原因
椎間板ヘルニア
交通事故や人用のベッドの上り下り、高い場所からの落下などの外傷により発症したり、肥満により椎間板に大きな負担がかかり、発症することが多くあります。また、老化が原因する場合もあります。椎間板の外側にある繊維輪のコラーゲン繊維が老化により弱くなってしまい、繊維輪が破損してしまうことにより発症します。その他の原因には小型で胴長で足の短い犬種が椎間板ヘルニアになりやすいと言われています。
鼠径ヘルニア
鼠径ヘルニアは先天性の場合は原因が不明で今の獣医学では解明されていませんが、遺伝が大きく関わっていることは分かっています。後天性の場合は外傷によることが原因しており、交通事故やケガで腹部に強い圧力がかかった場合に発症します。また、鼠径ヘルニアを発症していない状態でも、生まれつき鼠径部の異常がある場合は後に発症する可能性もあります。
会陰ヘルニア
会陰ヘルニアの根本的な原因はまだ分かっていませんが、骨盤隔壁の筋肉が弱化することが原因であることが多いと言われています。骨盤隔壁とは会陰部にある筋肉のことで、ここの筋肉が弱まることで会陰ヘルニアを引き起こします。また、ホルモンが不安定になることで発症する障害や前立腺の疾患により、会陰ヘルニアも併発することもあります。どちらにしてもこの病気は雄犬に起こりやすい病気ですので、雄犬を飼っている飼い主さんは注意深く見る必要があります。
臍ヘルニア
先天性がほとんどで、親犬が臍ヘルニアである場合にかなりの確率で子犬が発症します。通常、腹腔から臍へと繋がる穴が子犬の成長と共に塞がるものですが、臍ヘルニアの場合、これが塞がらずに脂肪や大網、腸管が飛び出してしまいます。
食道裂孔ヘルニア
食道裂孔ヘルニアもほとんどの場合が先天性です。食道や血管と横隔膜が繋がった穴が大きくなってしまっているとその隙間から胃が飛び出してしまいます。しかし、なぜ生まれつき横隔膜の穴が大きく開いてしまうのかは不明です。
予防法
椎間板ヘルニア
太らせないように年齢と体重に合った食量を与えたり、背骨の周りにある筋肉や靭帯を鍛えるために適度な運動やお散歩を欠かせないようにします。また、高さのある場所への上り下りをやめさせることも予防の一つです。
鼠径ヘルニア
鼠径ヘルニアは予防することがとても難しい疾患です。この場合は普段からよく観察し、犬の太もも部分を普段から触る癖をつけておくといいでしょう。早期発見がカギとなります。
会陰ヘルニア
会陰ヘルニアは95%の確率で雄犬に発症します。これはホルモンが深く関係しており、予防処置としては「去勢手術」をすることをおすすめします。また、無駄吠えが多い犬の場合腹圧が上がってしまうことにより発症してしまうので、無駄吠えをしないように普段からしつけをすることが大切です。
臍ヘルニア
臍ヘルニアの予防法は残念ながらありません。しかし、早期発見早期治療で腸閉塞の危険を回避できます。やはり普段から、犬の観察やおなか周りなどに触ることを習慣づけることで早期発見に繋がります。
食道裂孔ヘルニア
先天性のものが多いので予防法はありませんが、子犬の時期からしっかりと観察し、特に食事がしっかり取れているか、呼吸状態や発育状況などに問題はないかチェックするようにしましょう。
ヘルニアに良いサプリメント
動物病院での治療と併用してサプリメントでヘルニアの症状を緩和したり、再発予防
として使用してみましょう。
ニューロアクト 犬猫60ml
ヘルニア疾患を持つ犬の飼い主さんがおすすめしている液体タイプのサプリメントです。
ヘルニアに必要な関節構成成分や抗酸化成分ビタミンが配合されています。
【AZS】ペット用サプリグルコサミン/MSM/コンドロイチン
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グルコサミンとMSMコンドロイチンの3つの成分を配合したサプリメントです。この商品は犬の口に直接入れてあげてもいいし、食事に混ぜて与えることもできます。
犬サプリメント 関節 あんよくん
小型犬から大型犬まで幅広いわんちゃんに使用できるサプリメントです。効能は、関節の痛みや脱臼、炎症、腰痛に効果があるサプリメントです。国産のグルコサミンとコンドロイチンを配合しているためのも安心ですね。
治療
椎間板ヘルニア
内科療法と外科療法の2つがあり、内科療法の場合は軽度の場合に限ります。非ステロイド薬や抗炎薬の投与、レーザー治療を用いますが、基本的にはケージに入れる時間を多くして安静にさせることが一番の治療となります。この内科治療は4週間から6週間をめどに行います。
外科療法の場合は、椎間板ヘルニアが進行した重度のグレード3以上の場合に行います。手術方法は、原因となっている飛び出てしまった髄核を切除します。日常生活に支障が出ないよう、術後の早期段階でリハビリを行います。
鼠径ヘルニア
鼠径部のヘルニアがまだ小さいい場合は経過観察になりますが、膨らみが大きくなったり指で押しても引っ込まない状態になっている場合は手術を行います。手術の場合、飛び出してしまった腸や子宮、膀胱などの臓器を元の位置に戻し、広がってしまった穴を塞ぎます。
会陰ヘルニア
会陰ヘルニアも主に外科療法となります。飛び出した腸や膀胱などの臓器を元の位置に戻し固定します。それと同時に筋肉の隙間を縫って再発を防止します。また、この病気は未去勢の雄犬に発症しやすく、再発もしやすいため会陰ヘルニアと一緒に去勢手術もします。内科療法では、ヘルニアを防止するために直腸に便がたまらないよう軟便化剤を投与します。
臍ヘルニア
臍ヘルニアは、小さい状態で尚且つ生後半年~8か月になれば成長と共に自然と穴が閉じるのでそれを待ちますが、自然と穴が閉じずに大きく膨らんでいる場合は、修復の手術を行います。また、腸閉塞などを起こしている場合は緊急手術となってしまうので、早期発見に努めなければなりません。
食道裂孔ヘルニア
食道裂孔ヘルニアは「ニッセ法」と呼ばれる手術法によって治療します。患部近くの腹部や胸部に穴を開け、そこから内視鏡を使って手術する方法です。今はこの方法が主流となっています。この手術により、腸などの臓器を元の位置に戻し、大きく開いてしまった穴を塞ぎいで逆流を防ぐ処置を施します。
早期発見の愛犬チェック方法
どのヘルニアにも共通して言えるのは「早期発見と早期治療」この2つです。進行が進めば進むほど手術での負担が大きくなりますし、術後の回復にも影響が出てきます。「早期発見と早期治療」には飼い主さんの日頃からの観察力とスキンシップが大切です。毎日の食事の仕方に変化や異常はないか、犬と遊びながらスキンシップをしてどこか膨れているところはないかなど、いつも愛犬のチェックするように習慣づけることが一番のヘルニア対策となります。
ヘルニアの治療費用
ヘルニアの治療費は内科療法でも外科療法でもどちらも大きな金額がかかります。そのことを事前に知ってから病院への受診をしましょう。
内科療法
- ヘルニアの診察代で約2500円~4500円(小型犬、大型犬により異なる)
- レントゲン5000円程
- CT検査 3万円~5万円程
- 治療薬 3000円~1万5000円前後
外科療法
- 各ヘルニア手術 20万円~50万円前後
このように、ヘルニアになると内科療法であっても万単位でお金がかかてきます。また、外科療法となれば手術となるのでそれなりの備えが必要です。事前に愛犬貯金をしておいたり、ペット保険に加入しておくことをおすすめします。
かかりやすい犬種
椎間板ヘルニア
- ミニチュアダックスフンド
- シーズー
- ペキニーズ
- トイプードル
- ラサアプソ
- バセットハウンド
- ジャックラッセルテリア
- 狆
- アメリカンコッカースパニエル
鼠径ヘルニア
- ミニチュアダックスフンド
- チワワ
- ポメラニアン
- ミニチュアピンシャー
- ウエストハイランドホワイトテリア
- トイプードル
- ジャックラッセルテリア
- チワワ
会陰ヘルニア
- ボクサー
- ペキニーズ
- トイプードル
- コリー
- ボストンテリア
- ジャックラッセルテリア
臍ヘルニア
- シーズー
- キャバリア
- ビーグル
- コリー
- アメリカンコッカースパニエル
- ジャックラッセルテリア
- 秋田犬
- トイプードル
- チワワ
食道裂孔ヘルニア
- トイプードル
- ジャックラッセルテリア
- ミニチュアダックスフンド
かかりやすい犬種とペット保険料
次の犬種は、 ヘルニア にかかりやすいと言われています。この犬種の飼い主さんは特に生活環境や発症・悪化させないようにしつけを行い、ペット保険に加入しておきましょう。
- コリーの保険料
- ジャック・ラッセル・テリアの保険料
- シー・ズーの保険料
- チワワの保険料
- トイプードルの保険料
- ビーグルの保険料
- ペキニーズの保険料
- ボーダーコリーの保険料
- ポメラニアンの保険料
- ミニチュア・ダックスフンドの保険料
- ミニチュア・プードルの保険料
動物病院の治療費は高額になりがちです。治療費のために十分な治療ができなかったということにならないように、ペット保険に加入して備えておくことも、愛犬・愛猫の飼い主さんの大切な役目です。