犬・猫の熱中症
犬・猫の 熱中症 の症状・初期症状・兆候・原因・予防法・治療法・かかりやすい犬種など、詳しくまとめました。気になる点があれば、すぐに動物病院に連れていってあげましょう。
読み: ねっちゅうしょう
目次
初期症状
犬の熱中症で比較的最初に見られる症状とは?
パンティング
パンティングは口腔内の水分を空気の流れを使って蒸散させそこに生じた気化熱で体温を下げるために行われるものです。そう、ワンちゃんが舌を出してハァハァ…とやるあの行為のことですね。犬の汗腺はエクリン腺と呼ばれる無臭でサラサラした水分の多い汗を分泌する腺が肉球にしかないため、私たちのような発汗による体温調節がとても難しいためこのような方法で体温調節を行っているのです。体温が上昇するにつれ激しくパンティングを行うようになります。
体が熱い
パンティングで体温を下げることができなかった場合、体が熱くなります。
体温計を使って測定すればすぐにわかることですが、平熱時のワンちゃんの体を触った感覚を覚え平熱であるかどうかを感じられるようにしておくといざというときに手間取ることがなくなります。
体温の変化が起きやすい足先など体の末端は避けるようにし、腋や内股などに触れて判断しましょう。触る場所によっては毛が密集しているところもあり体温を感じる感覚は体の部位によっても異なってきますので正確な体温を感じられる場所に触れることが大切です。
症状
犬の熱中症でみられる主な症状についてまとめてみました。
- 元気がない(ぐったりしている、ふらつきがあるなど)
- 呼吸困難
- 意識喪失
- 大量のよだれ
- チアノーゼ(血液中の酸素が不足することで舌や口の中の粘膜が青紫色になる)
- 筋肉のけいれん
- 脈拍や心拍が速くなる
- 脱水
- 虚脱
- けいれん発作
- 下痢や嘔吐(嘔吐物に血が混じります)
- 目の充血や眼球の異常な動き
(※脱水のチェック方法について)
背中のたるんだ皮を手でつまんで離しますがすぐに皮膚が元に戻らない場合とピンク色の歯茎をうっすら白くなるまで指で推し離したときピンク色に戻るまで2秒以上かかる、歯茎がネバネバするときなどは熱中症にかかっている可能性があります。
熱中症のメカニズム
自力での体温調節ができなくなる
↓↓↓
上昇した体温を下げようとハアハアハアとパンティングを行ったり水をしきりに飲む
↓↓↓
脳や内臓などの細胞が壊れ障害をきたす→命に関わることもあり!
原因
犬が熱中症の症状を発症してしまう要因となっているものとは?
体温が上昇してしまう環境に置かれていた
長時間の炎天下、車中や狭いケージなどへの閉じ込め、ドライヤーの温風が長時間にわたり当たった状態などにより体温が上昇し熱中症を引き起こしてしまうことがあります。
また熱中症は、夏に限ったことではなく冬場においても狭い空間への閉じ込めや過度に効きすぎた暖房などによって発症する場合もあり、気温がそれほど高くなくても梅雨の時期や風呂場など湿度が高い場合では条件が揃うことにより、水分の蒸散がうまくいかなくなり体温が上昇するため熱中症になるリスクが高まり注意が必要となります。
短頭犬種である
シーズーやパグ、ブルドックなど鼻の詰まったいわゆる短頭犬種は、気道が狭くなっているため口腔内や気道で水分を蒸散させることが苦手な犬たちです。このような犬種は体内に熱がこもりやすく他の犬種よりも熱中症を発症しやすい体の構造を持っています。
また気道が狭くなっている気管虚脱の犬も注意が必要です。
寒い地方原産や被毛の厚い犬種・肥満傾向にある犬
ソリ犬としても有名なサモエドやシベリアンハスキーなど寒さの厳しい地方原産の犬種はダブルコートと呼ばれる二重構造の密集した毛並みをしている犬種たちです。密集した毛並みは熱が被毛の間にこもりやすく逃がしにくい構造になっているため体温が上昇しやすくなります。
また、肥満傾向にある犬では、皮下脂肪が断熱材の役目を果たし熱がこもりやすく、脂肪が気管を圧迫するため呼吸機能が低下し熱中症を引き起こすリスクが高くなります。
体力が低下している、子犬または老犬である、脱水している
体力がない犬ほどうまく体温調節ができず、その影響を受けやすくなります。また脱水などにより体の水分が不足していると体温が上昇しやすくなります。
予防法
愛犬の熱中症を予防するために私たちが気をつけるべきこととは?
室内編
- 風通しを良くし部屋の中に熱がこもらないようにする
- エアコンや除湿器、冷感素材のクールマットや洋服、バンダナなどの活用
- カーテンなどで日よけを行い直射日光を避ける
- いつでも飲めるよう新鮮な水をたっぷり用意しておく
- 愛犬が過ごす場所の広さには余裕を持たせる
- 湿度計付きの温度計を愛犬の体の高さにも設置し常に管理できるようにする
- 冬場に暖房を過度に効かすことは避ける
※エアコンの風が直接愛犬の体にあたるのはよくありません。
また冷たい空気は床の方に流れやすくなるため冷やしすぎには注意が必要です。
屋外編
- ハウスは直射日光が当たる場所を避け風通しがよく日陰に移動できる場所に設置する
- クールマットなど冷却効果のあるものの活用
- いつでも飲める新鮮な飲み水をたっぷり用意する
外出編
- 炎天下での散歩や運動は控え、早朝や夕方などの涼しい時間帯に行う
- 気温が高めの日はアスファルトの照り返しも強いため必ず手で地面に触って路面温度を確認する(犬は私たちが感じているよりも地面から発せられる熱の影響で体感温度が上がるため)
- 冷感素材の洋服やバンダナなどを着用し体温の上昇を防ぐ (白い洋服は日光を反射させる効果があるためオススメです)
- キャリーバックの中にも冷却効果のあるものをおく
- 例え短い時間でも車内に愛犬を放置しない
- 飲み水を必ず持ち歩く
治療・対処法
愛犬が熱中症にかかってしまったとき私たちにできることとは?
飼い主さんができる対処法
意識がある場合
涼しい場所に移動させ水が飲める場合は飲みたいだけ水を飲ませましょう。
それでも体温が下がらない場合は体を冷やします(※意識がない場合参照)
意識がない場合
体を冷やします。保冷剤や水の入ったペットボトルを凍らせたものを首、わきの下、足の付け根など太い血管が通っているところにあてて冷やしましょう。
冷たい水で濡らしたタオルを体にかけることによって気化熱で体を冷やす方法もあります。
同時に扇風機などで体に風を送ります。乾いてきたらタオルに水をかけるようにし常に濡れた状態に保てるようにします。
※保冷剤など凍ったものを使用する際は必ずタオルにくるんだ状態で犬の体に当てます。
直接体に水をかけたり、風呂場のようなところで体を水に浸からせる方法もあります。
しかし、急激に体を冷やすことで体表血管の血液が冷えそれが内臓などに流れ込むことにより冷却をやめたあとも体温が低下し続けたり、毛細血管が収縮することで体から熱が熱が放出されなくなることもあり注意が必要となります。
↓冷やしながらすぐ病院へ!!↓
病院での治療について
脱水症状を起こしていることが考えられますのでその場合点滴などを行うことになり最低でも数千円程度はかかると思われます。
ショック状態など重症化すると検査や入院になることも考えられトータルで数万円以上はかかるとみておいたほうが良いでしょう。
※症状の度合いや動物病院により治療内容や費用は異なることが考えられます。
かかりやすい犬種とペット保険料
次の犬種は、 熱中症 にかかりやすいと言われています。この犬種の飼い主さんは特に生活環境や発症・悪化させないようにしつけを行い、ペット保険に加入しておきましょう。
動物病院の治療費は高額になりがちです。治療費のために十分な治療ができなかったということにならないように、ペット保険に加入して備えておくことも、愛犬・愛猫の飼い主さんの大切な役目です。