犬・猫の膿皮症
犬・猫の 膿皮症 の症状・初期症状・兆候・原因・予防法・治療法・かかりやすい犬種など、詳しくまとめました。気になる点があれば、すぐに動物病院に連れていってあげましょう。
読み: のうひしょう
目次
症状
膿皮症は、様々な部位に起こる皮膚炎ですが、特に脇下や股、お腹、顔、指の間などによく見られる皮膚炎です。はじめのうちは赤いニキビのような発疹が起こり、それに加えてかゆみが伴います。そこから進行すると、かゆみを伴った発疹を中心に円形に広がり始めます。この状態を「表皮小環」と言います。
また、強いかゆみを伴うため犬が患部を舐めたり爪で引っかいてしまうと、細菌が皮膚の深部まで及んで炎症により腫れが起きたり、化膿した場合に脱毛し「ホットスポット」呼ばれると病変が出現します。病変の広がりが治まると皮膚に色素沈着が見られ、皮膚が黒っぽくなるのがこの疾患の特徴です。
膿皮症種類一覧
皮膚皺襞膿皮症(ひふしょうへきのうひしょう)
しわの間などに起こる膿皮症で、しわの間の皮膚が化膿し、白く脂っぽい物が出てきます。 雌犬では外陰部、指の間、鼠蹊部などに見られます。
化膿外傷性皮膚炎
こちらも膿皮症の一種で、患部の掻きむしりなどにより角質層が破壊されてしまった状態で 円形に脱毛します。この状態を「ホットスポット」と言います。
表層性拡散性膿皮症
背中に多く見られ、炎症がひどくなり、膿が出た状態で大きな輪状紅斑が表れます。
表層性細菌性毛包炎
犬で最も多い膿皮症です。その名の通り毛包に細菌が入り、炎症が起き化膿した状態の膿皮症を言います。
皮膚粘膜膿皮症
口唇や眼瞼、外陰部、肛門などの粘膜に炎症が起き化膿した状態の膿皮症です。
深層性毛包炎
表皮の下にある真皮にまで炎症が及んだ状態の膿皮症です。毛包炎が毛包全体に広がってしまい真皮が侵され、痛みを伴います。
原因
膿皮症が起こるメカニズムは、免疫低下により皮膚バリアが弱まり、皮膚に細菌が増殖してしまい発症します。原因としている菌は主にブドウ球菌で、ふだん身近に存在している菌が悪さをします。また、ニキビダニ症、アレルギー性皮膚炎、脂漏症、アトピー性皮膚炎など他の疾患や内分泌疾患から二次的に膿皮症を引き起こしてしまうことも多くあります。
また、犬の置かれる環境が不衛生である場合にもなりやすいと言われていますが、逆に、シャンプーのし過ぎで皮膚バリアが弱くなり発症してしまうこともあります。
その他にも、犬に合わないシャンプー剤を使用することで起こったり、しっかり皮膚や被毛を乾かさなかったり、ブラシの先端で皮膚を傷つけてしまうことでそこから菌が入り込み膿皮症を引き起こしてしまうケースもあります。
良かれと思ったケアのつもりが仇となる場合もあるので十分注意しましょう。
また、元々メンタルの弱い犬の場合、精神的な大きなダメージが加わることによって免疫力が低下し、膿皮症になってしまった犬もいます。
原因
- 皮膚バリアが弱くなり細菌が繁殖
- 不衛生
- シャンプーのしすぎ
- 合わないシャンプー剤
- 被毛の生乾き
- ブラシによる傷
- ストレスによる免疫力の低下
予防法
とにかく、犬の置かれる環境や犬の皮膚被毛の正しいケアを怠らないことです。自宅でこまめにブラッシングをすることで、皮膚の血行を促進でき皮膚免疫の向上が期待できます。そして、お散歩での軽い汚れならブラッシングで取れてしまいます。また、定期的なシャンプーやカットも必要です。
元々皮膚疾患があり、二次的に膿皮症を発症しやすい犬ならば、それを防ぐために、きちんと定期的に獣医師の治療を受け、犬に合った薬用シャンプーで洗ってあげるようにしましょう。また、自宅でうまく洗えるか不安な場合は無理せずトリマーに任せましょう。薬用シャンプーの中には、皮膚に薬剤を染み込ませるためにすすいでもなかなか落ちないものもあったりして扱いが難しい物もあります。その場合はプロに任せるのが一番です。
また、精神的なダメージを受け、免疫力が落ちたことにより膿皮症を発症してしまった犬には、動物病院での治療と併用して、メンタルケアを心がけてあげると良いでしょう。その場合、飼い主さんとのコミュニケーションをたくさん取ってあげるようにしたり、ハーブやアロマなどを用いて弱ってしまったメンタルを立て直してあげることも良い方法です。
膿皮症になる前にできるチェックと自宅ケア
膿皮症になってしまうと、金額的にも大きい出費となってしまったり、犬にとっても頻繁な通院はストレスになってしまいます。
膿皮症にならないためにも普段から被毛や皮膚のチェックを怠らないようにし、ブラッシングやシャンプーの時に皮膚の状態をしっかり確認するようにしましょう。
また、ブラッシングで良く使われるスリッカーブラシの使い方も正しく使うようにトリマーに教わったり、ブラシのピンがソフトタイプの物にして皮膚を傷つけないようにすることもとても重要です。
また、普段使っているブラシの殺菌消毒もこまめにするようにして気を付けましょう。
膿皮症おすすめのシャンプーやサプリメント
フジタ製薬 薬用酢酸クロルヘキシジンシャンプー
フジタ製薬 薬用酢酸クロルヘキシジンシャンプー 犬猫用 200g(医薬部外品)
ほとんどの動物病院でも処方しているクロルヘキシジン配合の薬用シャンプーです。
細菌や真菌、ウィルスの殺菌効果をもたらします。
ビルバック エチダン膿皮症用シャンプー200ml
ビルバック (Virbac) 犬用 エチダン膿皮症用シャンプー 200ml
乳酸エチル、キトサンサクシナミド2つの成分が配合された低アレルギーのシャンプーです。
皮膚洗浄だけでなく、余分な皮脂のも除去できます。
ノルバサンシャンプー0.5 200ml
クロルヘキシジンなどの殺菌成分が配合されたドッグサロンや動物病院でも
定番の薬用シャンプーです。低刺激のため子犬や子猫にも使用可能です。
犬サプリメント パンフェノン
発酵ごま油出物や酵母エキスなどで作られた被毛を健やかに保つためのサプリメントです。動物病院でも販売されている物で、処方薬との併用も可能なのが安心です。
治療法
基本的には抗生物質の投薬治療と殺菌効果のある薬用シャンプーで治療します。
薬用シャンプーは主にクロルヘキシジン、乳酸エチルを主成分としているものを使用します。また、元々の皮膚疾患や内分泌疾患の治療もしっかり行うことも膿皮症の改善に繋がりますので、これらの疾患により膿皮症を発症してしまったのなら、元凶の疾患治療も怠らないようにしてください。
治療費用
一回目の診察と診断、院内での治療により15000円程かかります。
しかし、膿皮症の治療は長期に渡ることがほとんどなのと、だいたい10日ごとの通院治療となりますので、月に45000円程か状態によってはそれ以上かかることもあります。
かかりやすい犬種とペット保険料
次の犬種は、 膿皮症 にかかりやすいと言われています。この犬種の飼い主さんは特に生活環境や発症・悪化させないようにしつけを行い、ペット保険に加入しておきましょう。
動物病院の治療費は高額になりがちです。治療費のために十分な治療ができなかったということにならないように、ペット保険に加入して備えておくことも、愛犬・愛猫の飼い主さんの大切な役目です。